2005年1月19日
江戸の松
ある墓地からの眺め。青空を背景に1本、すくっと伸びた松。寺のあるお山の斜面から見ているのですが、丁度そのお山と周囲の住宅地の境のあたりにこの松はあります。時折通りかかってこの風景を見ると、いつも浮世絵の風景画が浮かぶのです。広重の東京百景は好きなシリーズ。そこに描かれる松でこんな感じのものが幾つかあります。以前は造形的に見栄えよく描かれてあるものだと思っていましたが、この松を見て、あっ、そのままだと実感。かつての江戸ではあちこちでこんな風景が見られたのでしょう。
この松のある風景を写生していた人を何度か見かけたことがります。面白い素材だと思う人は少なくないのでしょう。絵が描けるというのは、楽しいことではあるけれど、思い通りに描く為にはそれなりの苦労がいりますよね。幸い絵心皆無の自分は、二百年前はどんな景色だったろうなどと想像しつつ、墓石に囲まれながら気楽に松を眺めているのです。